大学生版「あの時の、あの食事、あの弁当」その9


言い忘れていませんか?


「美味しい!」


それは料理に和えられた数多の命を輝かす、魔法の言葉。

 中学校、高校生の時の昼の弁当です。
 中学校の頃は給食だったので弁当があるのは遠足などの特別な行事の時だけだったのですが、当事は滅多に弁当じゃなかったので「遠足の時は豪華に肉をたくさん食べたい!」と言って、母さんにたくさん肉が入った弁当を作ってもらっていました。
 そして高校生になって毎日弁当になったのですが、思春期だったからなのか、素直に弁当の感想を言えず、いつも母さんに「今日の弁当どうだった?」と聴かれると、いつも「普通だった」と答えていました。それを聴いて、僕の口から「おいしい」と言う言葉を聴きたくて、いつも工夫した弁当を作ってくれていました。だけど、自分の中では母さんの作る弁当が一番でいつもおいしい!と思いながら食べていました。そして最後まで本当の感想を言えなかったのが心残りなので、次実家に帰った時にはちゃんと「おいしい」と言うということが僕の課題です。