佐伯でもきっと広がる!弁当の日1

 大分県佐伯市で3月3日から、「食卓の向こう側」講師陣による食育講演会「スプリングシリーズ」が全10会場で開かれる。延べ1300人が参加した昨夏の「サマーシリーズ」に続く第2弾。参加無料。「子どもが作る“弁当の日”」や、地元の料理を食べて足元の豊かさを再発見する「家庭料理大集合」など、体験型の食育活動を展開する講師たちが対話形式で語る。講演日程と会場は次の通り(地区名のみは公民館。昼=午後2—4時、夜=同7—9時)。
 3日=九州大農学部助教・比良松道一氏(夜・上浦)▽4日=同(午前10時15分・色宮小学校、夜・直川)▽12日=西日本新聞社事業委員・安武信吾(夜・宇目)▽13日=同(昼・佐伯市三余館)▽15日=比良松氏(夜・弥生保健センター)▽20日=長崎県波佐見町立南小教諭・福田泰三氏(夜・蒲江)▽22日=西日本新聞社編集委員・佐藤弘(夜・本匠)▽27日=フリー記者・森千鶴子氏(昼・佐伯市三余館、夜・鶴見振興局)。問い合わせは、同市企画課総合政策係=0972(22)3486。
=2010/02/21付 西日本新聞朝刊=


「話を聞いてもらっても、聞いた人の行動に結びつかなくては意味がない。」
最近、”弁当の日”や“元気野菜”の講演では、それこそが重要なのだと強く思うようになった。


そのためには具体的にどうすればいいのだろう?


“弁当の日”も、“元気野菜”も、身近なところで実践されていれば、すぐに見せてもらえる。身近なところで実践者がいれば「あの人に聞けば……」とフットワークも軽くなる。私のようなよそ者の話を聞くより、地元の実践者の話を聞く方が、参加者にとって“弁当の日”や“元気野菜”がより身近なものに感じれるだろう。ひいては、実践者が増えていくだろう。


「今回は、地元の実践者をフィーチャーしてください。」
私は、さっそくこのシリーズの企画リーダーS田さんにそうお願いした。


3日と4日の夜の講演には、地元の城南中学校での“弁当の日”を実現された、給食センター栄養教諭、M先生が抜擢された。


3日夜、上浦地区。

  • 大学生の食生活と心の悩み
  • 小学生の残食と心の悩み

と導入部をつくり、

  • 子どもたちの心を育てる“弁当の日”〜小学生版

を伝えたところで、M先生に登場頂いた。


初日は、講演直前に佐伯入りし、M先生との打ち合わせがほとんどできず、私とM先生との間で、クロストークイメージが共有できていなかった。私の質問がM先生の話の流れを遮ってしまうような雰囲気になってしまった。完全な私のファシリテートミス。終盤は、私の持ちネタで話の流れを取り戻し、なんとか聴衆の笑いや涙を誘うことができたが、肝心のクロストークで盛り上げることができなかったのが初日の最大の反省点だった。


講演後の夕食、同席されたM先生と作戦会議(というより、私からM先生への一方的なインタビュー)。そこで、“弁当の日”に起こった、数々の素敵なエピソードを教えていただいた。「先生、明日はそのエピソードを是非とも参加者へ向かって話してください!『“弁当の日”で、子どもたちが変わりましたか?』と振りますから」私はM先生へそうお願いした。翌朝、M先生は生徒の担任に許可をとり、話の準備をしてくださった。


4日夜、直川地区。


前日夜と同様の導入の流れを私がつくり、M先生の登場。
私「……で、何回実施されたのですか?」
M先生「年末に2回。いずれも休日明けでした」
私「その他に何か工夫は?」
M先生「コースも設けました。おにぎりコース、一品コース、完璧コースです」
私「なるほど、それで子どもたちが挑戦しやすく、また、家庭が協力しやすい雰囲気をつくったわけですね。
さて、そこで会場のみなさんに問題です。何%の生徒が完璧コースに挑戦したでしょうか?」
「……(会場が考える時間)」
私「なんと、60.5%です。どうですか!皆さん。これが中学生の本音ですよ」
M先生「私も予想外の数値でした」
私「じゃあ、中学生の作品を見せてもらいましょうか」
M先生「『もっと手の込んだものを作りたかった』、『給食のおばちゃん毎日こんな仕事してたいへんやな〜と思った』など、嬉しい感想をたくさんももらいました」
私「それは嬉しいですね〜。勉強以外のことに挑戦する気持ちや、人に感謝する気持ちが、自発的に湧いてきたんですよね。その他にも子どもたちが変わったという例がありましたか?」
M先生「実は……」


ここからのエピソードに聴衆も、私も、皆、涙。
それ以上、私の出る幕はなかった。


これから佐伯市の講演では、是非、M先生とのコンビで。