イタリア旅行記〜7


シンポジウム会場のホテルのすぐ近くに小さなピッツァリア(ピザ専門レストラン)がある。
ホテルから徒歩で1分という立地条件もあり、ペッシャに滞在中3回もここで夕食を食べた。


ピザとパスタ中心のメニューだが、石釜で焼くピザと魚介類を使う料理が美味かった。



しかもフィレンツェで食べた店の半分以下の値段で食べれる。


しかし、ここに3回も来た理由はそれだけではないと思う。


ここのおばちゃんはとてもフレンドリーで愛想が良いのだ。
イタリア語があまりわからない私たちに片言の英語で説明してくれる。
テーブルに運んだピザを必ず自らの手で切り分けてくれる。


そしてよく話しかけてくれる。
「ボーナ・アペティート(たくさん召し上がれ)!」
「料理は十分?」
「ありがとう」
「おやすみ」
……etc.
ペッシャでの最後の夜、このレストランで一人で食べたときもそうだった。


私は気付いた。
フィレンツェで私が入った店にはそれがなかったことを。
観光地。
客が居てあたりまえ。
注文された料理が運ばれてくるだけ。
皿が投げられるようにしてテーブルに置かれる。
食事中に話しかけられることもない。


食べている人をどれだけ喜ばせるかは、
料理の腕だけではないということ。
そこに気付くのはとても大切なことだと私は思う。