2012後期「いのちの授業」第5回〜「味覚」

昨日の「いのちの授業」のテーマは「味覚」。


教室で、いりこ、こんぶ、かつお節で出汁を取り、試飲し、感じる味を自分の言葉で表現する。


日本マクドナルド創業者は、味覚は9歳までに完成しそれ以降は修正不可能と言ったそうだ。しかし、味覚が脳を介する神経伝達に依存しているならば、それ以降の学習も可能ではないだろうか。


「いのちの授業」では、これまでに3回ほど、延べ60人ほどの大学生に出汁の飲み比べをおこなってきた。その結果を踏まえると、大学生の大半が最も美味しいと感じるのは、天然出汁ではなく、グルタミン酸ナトリウム主体の化学調味料だ。


ただ、そうだからと言って他の味がわからないわけではなさそうである。おもしろいことに、彼らは、天然出汁の味を識別できる。いりこ、こんぶ、かつお、全ての味の違いを見分けることができるのだ。

グルタミン酸化学調味料…おでんの味、しびれる味
いりこ…苦い、はらわたの味
こんぶ…とろろ昆布、おしゃぶり昆布
こんぶ+かつお…くせがない、バランスが良い、飲みやすい


天然だしに触れる機会さえあれば、自分で大切なものを選び取る可能性が彼らにはまだ残されているのかもしれない。この日、二人のゲスト料理研究家と共に、初めてかつお節を削る受講生を眺めながらそんな希望的可能性を私は感じていた。


次回11月12日(月)の「いのちの授業」のテーマは「料理」。


地元でご活躍中の料理研究家お二人に自炊を楽しくするレシピを実演いただきながら、なぜ自炊が大切なのかをみんなで考えていきたいと思います。


一般参加のご希望は:1.名前、2.年齢、3.職業・所属、4.参加希望日を書いて m-hirama@agr.kyushu-u.ac.jp までお申し込みください。