長野路代さん


今日は、ながのばあちゃんこと、長野路代さんの食術指南を体験。


「これは“ややまきゅうり”と言って、昔からこの地域で育てられてきた地這いキュウリ。これからの時期が、身が締まって一番美味しいの」。


そう言って、キュウリを縦に割ってわたをとりだすと、市販のキュウリではなかなか感じることができない強い香りが漂う。


「紫蘇の実は今の時期だけ。こうして穂の先からしごくと奇麗に実がはずせるのよ。下からはダメ。やってみる?」


ホントだ。指で穂先をつまんで下へ引くと面白いように紫蘇の若い実が落ちていく。その時に放つ紫蘇の香りに心地よく癒される。


「ブドウは湯剥き。こうして1分ほど茹でると薄皮だけを残して剥けるの。ホラ奇麗でしょう。見た目も良くて、食べ易くて、おまけに、身体に大切なものも残せる」。


初めてやった私でもきれいな薄紫色のブドウの実を次々と作ることができた。


そんな未知の教えを体験しながら思う。


「やっぱり、料理はレシピじゃない」。


先人から受け継いで、自分のものとし、そして次世代へつなげていく。そのように人を介して流れていく、何気ないけれども大切な知恵にこそ、料理の肝なのではないだろうか。


出来上がった料理に舌鼓を打つ私に長野さんがおっしゃった。


「料理は元気、やる気、根気、そして、のん気」。


その言葉をそのまま学生たちに伝えたい。


*「ながのばあちゃんの食術指南」は、西日本新聞金曜朝刊げんき日和IIで連載中。