アイランド花どんたく 第2話 ハカタユリ

mich_katz2005-09-09

本物の金印を見た興奮覚めやらぬまま,ハカタユリが展示される中世博多の時代コーナーへ向かう.
12℃に維持されたガラスケースの中で開花するハカタユリとご対面.大学の研究施設で開花をコントロールする時はひと株ずつ鉢植えにして栽培してきたが,展示ケースの中では5株をまとめて展示してあり,ボリュームがあってなかなか見応えがある.
来場者から「きれいね〜」とか「こんなユリがあったんやね〜」といった感嘆の声が次々と漏れる.そんな声が聞けて,このプロジェクトに携わった者として嬉しい.
展示ケースの側ではハカタユリ復活のドキュメント映像が上映されていた.やや大袈裟なプロジェクトXばりの編集に内心笑ってしまう.それと同時に,私と大学院生のS君が時間をかけて得た分析データが,「日本と韓国のハカタユリのDNAパターンが見事に一致した!!!」と動画を駆使して誇張されると,思わず「へ〜」とあたかも他人ごとのように納得してしまいそうになる.こういうイベントでは場が盛り上がればよいとはいうものの,マスコミの編集技はおそろしい.
そのコーナーでしばらく写真を撮ったりして時間をつぶしていると,何やら周囲が騒がしくなってきた.テレビの取材だ.レポーターのハイテンションな声が会場に響く.話に耳を峙てて聞いていると,時々,嘘を言っていたり,間違った日本語だったり.

「そして!こちらが,日本に800万年前に伝わったと幻のユリ,ハカタユリです!!!」
う〜ん・・・800万年前は日本の形さえなかったかもネ.
間違い指摘ついでにもうひとつ.
入場者が会場でもらうミニ・ガイドの3ページ,テーマ館第3展示室の説明

「過去」のコーナーでは金印や,後漢書魏志倭人伝に掲載されている植物,ハカタユリハカタユリ復活のドキュメント映像を紹介します.

魏志倭人伝に出てくるのは金印だ.
ちなみに,ハカタユリが記載された最古の書物は,現時点では,花壇綱目(1681)という江戸時代の書物らしい.
いずれの間違いとも一般の人々にとって大きな問題ではないかもしれないが,情報は正確な方がよろしいでしょう.