自動化された切り花生産〜花の向こう側1 _ My Life

mich_katz2008-04-23

ワンショット 〜 ユリ切り花生産の自動化を実現したPaauw Liliesの商用車(リッセにて)


今日のプロフェッショナルツアーでは、ユリの切り花生産でオランダ一の生産量を誇る農場 Paauw lilies(http://www.paauwlilies.nl/start.html)を見学した。ここで生産されたユリの切り花は、欧州、米国、そして、我々の近辺にある日本の花屋さんにもやってくる。


その生産技術の恐るべき点。それは、生産ラインの殆どの過程が自動化されており、人手を殆ど使わないことなのだ。


球根をマイナス2度で冷凍貯蔵する。必要な時期に必要な分だけ取り出す。


成分を調合し消毒した土の入ったコンテナに球根を植える。球根を置くのは3〜4人の手作業。


置いた球根に土をかぶせるのは機械。機械の中にコンテナが吸い込まれると上から土が被せられ、反対側から出てくる。出てきたコンテナは10箱くらいが乗る“移動式ベンチ”に自動的に乗せられ、敷かれたレールの上を滑りながら栽培室へ移動される。その様子は貨物基地の貨物列車をイメージさせる。


6ヘクタールもある巨大な栽培室は、人工的に温度や光を制御した芽出し用、栄養生長用、花育成用のに3部屋に区切られており、それぞれの生長ステージになると、ベンチが適切な部屋へ自動的に移動するようにコンピューターでプログラムされている。


収穫時期になったベンチは、コマンド信号を受けると、収穫用のプラントへと出てくる。レール上にお行儀よく並んだベンチは、収穫する人の前へ次々とやってくる。高枝切りばさみのような収穫用ハサミを持った人が適当なステージになった花を地際から切り取り、すぐ横のベルトコンベアーに載せる。この作業は一人でやる。


ベルトコンベアーの先では、一人の手によって花が10本くらいのまとまりに揃えられると、自動的にひもで束ねられ、束ねられた花は、その先に待つ一人の人が専用の漏斗状の袋へ入れていく。


ラッピングされた花は、4度の冷蔵庫で荷出しの日まで一旦貯蔵される。


荷出しの日を迎えた冷蔵切り花は、社名や商品名が書かれた箱に詰められる。箱の中に入れる作業以外、すなわち、蓋の開け閉め、箱の荷積みはすべて機械で行われる。


こうした行程を40回ほど繰り返し、ユリ切り花の周年生産が行われる。労働に携わる人わずか10人程度で、年間1200万本の切り花を生産する。これがオランダ切り花の生産の先端技術である。


ここは“農場”でなく“工場”。そんな気がした。その工場で作られる切り花が私たちの生活に溶け込んでいる。


国際花卉球根・宿根草シンポジウムの最終日のプログラムには参加せず、明日、日本へ発つ。