会議のハシゴ 4_ My Life


それから、二つのメッセージを“読み聞かせ”によって伝えた。


ひとつは、“弁当の日がやって来た”に紹介された信義少年の打ち込みうどんのお話。著者の竹下和男先生自身がお気に入りのこのお話は、子どもが誰かに喜んでもらおうと一生懸命頑張ったことを、その成否に関わらず、すべて優しく包み込む親の愛情の大切さを伝えてくれる。私が、弁当の日を通じて、保護者仲間と共有したかった“心のDNA”のひとつだった。


もうひとつは、3月に我が大学の弁当の日を卒業した学生がくれた手紙。彼女が書いてくれた「子どものことをこんなに考えてくれる、温かくて優しい空間が家庭以外にもあるんですね。なんか安心しました。」という2月の学童保育研究集会の感想を、是非とも保護者たちに届けたかった。


さらにたたみかけるように、弁当の日を通じてスイッチが入った学童の子どもたちが実際にどう進化していったかも伝えた。何もアドバイスしないのに顔のあるおにぎりを作ってきた子。最初はコンビニおにぎりだったけど、次は手作りおにぎりを持ってきた子。忙しい先生のために弁当を作ってきた子。1回目は興味が全くなかったが、最後には見事なキャラ弁を作って来た子。そして、その日の朝、自分たちで調理した弁当を持って保育所へ行った我が家のたくましい娘たち。


昨日考えたように、力を入れず、淡々と話した。いずれの話しも仕事や保護者会行事に忙しい保護者たちを大変勇気づけ、奮い立たせてくれるに違いないと確信していたから。いつもより、多くの親が、しっかりとこちらを見ながら、とても真剣に聞いて下さっているのが印象的だった。


「弁当の日を実践する子どもたちの成長を支えるのは、大人たちの愛情に満ちた心です。これからもここに居る皆さんが、子どもたちの弁当の日を応援して下さることを心から祈りながら、三年間の締めくくりの挨拶とさせて頂きます。どうもありがとうございました。」


そう言って私は、少し長めの挨拶を締めくくった。


今回の保護者会では、いつもはなかなか出席できない保護者の出席が目立った。それだけに、弁当の日の本当の意味を初めて理解した保護者も多かっただろう。


学童保育所を後にし、その日三つ目の会議へと向かいながら、心地よい疲労感と確かな手応えを私は感じていた。