出前授業その1 _ My Life

子どもたちの学びを深めるための教材を学びたい小学校教員。
子どもたちの学びを深めるための教え方を学びたい大学教員。


そんなペアでお互いにの短所を長所で補いながら授業をすると大きな学びがあるのではないかと思った。子どもたちにとっても、普段とは雰囲気の違う授業を時々受けることは、学習意欲を向上するきっかけになるかもしれない。
http://d.hatena.ne.jp/mich_katz/20080514


そんなきっかけで実現した特別授業「だいずはだいじ」。


今週と先週の火曜日に2回の授業を実施した。


2年生は生活科の授業で枝豆を育てた。枝豆と大豆は同じ植物。そこで、特別授業では、生活に身近な食品”大豆”をベースにして食や環境に関することまで広く学んでいくことにした。


小学校の授業時間は45分。大学講義の半分の時間で要点が伝わるようにしなければならない。しかも相手は小学2年生だから、大学生や大人ほど話に集中できないことが予想された。ひょっとしたら、ウルトラマンみたいに3分間くらいしか集中できないかもしれない。


そこで、映像や参加型ワークを多用するプログラムにし、子どもたちが飽きない工夫をしてみた。


挨拶はサイレントパフォーマンスにした。スライドに「こんにちは ひらまつともうします よろしくおねがいします」と書いて無言で指し示したり、お辞儀したり、そして、「拍手!(パチパチ……)」と書いて拍手させたり。みんな純粋で素直だからしっかり乗ってくれる。

  • さいしょのあいさつがとってもおもしろかったです。


どうやらつかみはバッチリだったようだ。


次に、遊び感覚でマメに関する知識を身に付ける四択クイズ。名付けて“豆マメクイズ”。クイズの良さは、大人にとって難しい内容を、子どもでも十分楽しめるという点だ。年齢に合った内容に特化しなくて良いので準備がしやすい。例えばこんな具合に……

  1. 次のしゃしんのなかでダイズの花はどれでしょう?
  2. ほんとうにあるマメは? 1)雲(くも)までとどく 2)水がなくてもできる 3)水の中にできる 4)土の中にできる
  3. マメの名前。ほんとうにないのは? 1)シカクマメ 2)ヒヨコマメ 3)イヌマメ 4)タヌキマメ
  4. 花屋さんの花にもマメの仲間がいます。どのお花(写真)? 1)チューリップ 2)ユリ 3)バラ 4)スイートピー


このクイズがたいへん盛り上がった。正解を発表する度に「イェ〜〜〜イ!」と子どもたちのガッツポーズが入る。

  • マメマメクイズがおもしろかったです。またしたいです。
  • だいずの花があるとはおもわなかったです。
  • ヒヨコマメやタヌキマメがあるかわかりませんでした。
  • ぼくのかんそうは、マメのしゅるいにはしらなかったものがありました。しかくまめがないとおもっていましたが、あるのがわかりました。なので、じぶんがみてないだけで、じぶんの目でたしかめないといけないのがわかりました。


感想を見ても、子どもたちがこのクイズを大変気に入ってくれたことが良くわかった。


メインワークは「みぢかなだいず」。


1)みそ 2)しょうゆ 3)なっとう 4)とうにゅう 5)とうふ 6)あつあげ 7)あぶらあげ 8)こうやどうふ 9)きなこ 10)マーガリン 11)マヨネーズ、の現物を並べ、どれが大豆加工製品かを、まず自分の知識と勘で答えてもらう(全て大豆を含む加工品)。


その後、「“だいず”は“大豆”と書きます。だから、包装パッケージに“大豆”という文字があれば、それは大豆を含んでいるということです。」とヒントを与え、グループごとに商品ひとつひとつに大豆という文字が有るかどうかを調べさせた。(この時、グループを円状に座らせて商品が順番に渡るようにすれば、すべての商品を調べることができ、時間をコントロールするのも容易であったと、後で気がついた。これは反省点。)


この作業を通して、子どもたちは、「加工食品の中に含まれているものを知りたければ、包装を丁寧に見ればよい。」ということを学んだ。この学びが予想以上に大きかったことは、次のような先生や保護者のコメントで良くわかった。

  • 先日、給食に出てきたピーナッツバターの包装を見て、子どもたちが「先生、これも大豆が入っとる!」って大騒ぎしていました。(担任の先生)
  • この前、子どもとスーパーに買い物へ行ったら、子どもが食品のパッケージの表記を一生懸命見ていました。まるで主婦でした。(2年生の母親)


ワークの後は、幼児向けの絵本から抜粋した「だいずがへんしん」を見せ、蒸したり、砕いたり、搾ったり、揚げたり、炒ったりすれば、大豆が今日見た加工品に変身できることや、日本人が消費する大豆400万トンのうち、300万トンが油に(50万トンが豆腐や揚豆腐に、50万トンがそれ以外の加工品に)使われていることを説明した。(400万トンがどれくらいの量なのかを具体的にイメージできる工夫が必要だった。この点は、第2回の授業でフォローした。)


子どもたちの感想

  • きょうはだいずのことがよくわかりました。さいしょのあいさつがとってもおもしろかったです。さいごのくいずは、みんなだいず(でできているしょくひん)だったんだ。はじめてしりました。またおべんきょうをしたいです。
  • だいずがあんなにやくだつなんてしりませんでした。だいずがとうふやあぶらになるなんてしりませんでした。日本人があんなに食べているのをおしえてくれてありがとうございました。
  • しょうゆがだいずでできていることをはじめてしったよ。だいずのことをおしえてくれてありがとうございました。
  • だいずからできた食べものしらべのとき、みんなが(ふくろを)ぐちゃぐちゃしてすみませんでした。それと、マヨネーズとマーガリンがだいずからできてるのがはじめてしりました。これからもよろしくおねがいします。
  • いつもえだまめをかんさつしてみて、どんどんかわっていくのを見て、だいずになるのをみていきます。ひらまつ先生、だいずのことをおしえてくれてありがとうございます。
  • まめにいろいろな名前があることがわかりました。あと、じぶんのたべているものの多くが、大ずでできていることがわかりました。これからも大ずのことをもっと知りたいです。


このブログを読んでくださる方々には学校で授業や講演をされる方が多い。そのうちの一人に先日お会いした時、「先生のブログ、私が小学生に授業する時にとても参考になっているんです。」と言われた。


各々が開発した教育効果の高い教材を教師仲間でシェアすることはとても重要だと私も思う。