いとエコキャンペーンの日々 その3


キャンペーン最終日。


前日の子ども向け紙芝居でエコバッグの売上に貢献できなかった私は、バッグ販売促進のための次なる策を一晩かけて考えた。その策とは……


スライドショー!


糸島の宝写真展に出した写真、いとエコ会議での写真、そして、キャンペーンイベントの写真と素材は揃っていた。


朝一で会場入りし、一人で準備していると、いとエコの“ドラえもん”ことM竹さん(http://d.hatena.ne.jp/mich_katz/20080807)が予定より早く会場へやってこられた。「来れない日があるかも」と言いつつも、結局、キャンペーン期間中皆勤である。


M竹さん「何してるんですか?」
私「キャンペーン用のスライドショーつくってるんですけど。」
M竹さん「それじゃあ、今日のファッションショーの中でエコバッグを紹介する時に使えるように作ってヨ。そしたら盛り上がるでしょ。」
私「いいですネ〜。それでいきましょう。」


M竹さんからもいろいろとアドバイスを貰いながら、セリフも書き加えて30分ほどで作り上げた。それをM竹さんが持参された、アフリカ音楽風のちょっと勇ましい、リズム感のあるBGMに乗せて早速試写(後でわかったが、実はこの曲、台湾民族音楽を現代風にアレンジしたものだった)。


M竹さん「かっこイイ〜〜〜!」
私「これ、イケますネ〜。」
M竹さん「何で最初(初日)っから作らんやったと〜。」
私「それは言わない約束です。まあ、私が本気を出せばこんなもんですよ。」
M竹さん「なん言いよっと〜。調子に乗って〜〜!(私をどつく)」


それからファッションショーまでの間、出来上がったスライドショーを流し続けた。時折、買い物客が立ち止まって眺めたり、ベンチに座って見たりしていた。もちろん、予定どおり、ファッションショー冒頭でのいとエコプロジェクトとエコバッグの紹介でも使った。思惑どおりの観客の反応に私は内心喜んだ。これで多少はバッグの売上が伸びるだろうと思った。


ところが……。ところがである。その後に思わぬ展開が待ち受けていた。


ファッションショーの司会を務めたM竹さんが見事だったのである。声、話し方、ゲストコメントの引き出し方、フォローの仕方等々、何をとっても上手いのだ。M竹さんのことを知らない観客のほとんどは、きっと彼女をプロの司会者だと思ったに違いない。それくらいすばらしい司会ぶりだったのである。


極めつけは、ファッションショー終了時。M竹さんは、ノーベル平和賞を受賞し、「もったいない」という日本語を世界に広めたワンガリ・マータイさんの言葉を朗読した。それをいとエコプロジェクトからのメッセージとして締めくくった。まるで彼女の講演会であるかのように、観客はその朗読とお話に聞き入っていた。


エコバッグの製作に携わったワークセンターの方々を紹介したことも大変良かった。「身体にハンディがある方たちですけれども、皆さんが、このバッグが糸島に広がってほしいと、一生懸命ひとつひとつ丁寧に手縫いされています。そんな想いがこもったエコバッグでもあるんです。」とM竹さんが紹介すると、会場後方に立ち上がったワークセンタースタッフに対して、会場から惜しみない拍手が贈られた。そのセンターの方々を招待したのもM竹さんだった。


ショー終了後、エコバグ売り場にお客が殺到した。前日まで4日間の売上を上回る勢いでエコバッグが次々に売れていった。結局、大小合わせて113までトータルの売上を伸ばした。


ドラえもんはやっぱりスゴかった。
スライドショーなんかよりずっとスゴかった。
とても頼りになるハッピークリエーターだった。


それを知ったのび太は次のイベントもM竹さんに司会を頼みたいと企むのであった。