体験イベントの楽しみ方


学童保育で稲刈り体験。
食育の一環として今年初めて親子で挑戦している稲作で、6月に植えた稲が収穫期を迎えたのだ。


「今日は、ただの稲刈りではありません。みんなに宿題を出します。コレです!」
……と言って、「カ・ト・ウ」と文字を書いた紙を取り出してみんなに見せた。


「カ・ト・ウの文字を浮かび上がらせるように稲を残しながら、刈り取りってください。」と説明。
すると高学年児童から「そんなん無理〜〜〜!」の声。
「する前から無理言うな!」と私。
「これができるかどうかは、保護者のみなさんの協力次第です。頑張ってください。」と保護者にも喝を入れる。


私は、この稲刈りを、子どもたちだけに体験させる作業にしたくなかった。大人達にも楽しんでもらいたかった。


文字として見えるように刈り取ったり、刈り取った稲を束ねたり、稲を干すための木を組んだり、それに稲を干したりという一連の作業。その中で、子どもたちと親たちが混じり合い、互いに知恵、力を出し合い、助け合う場面をできるだけ作りたかった。それにより、自分の役割を見出せること、誰かを思いやること、感謝することを学んで欲しかった。学童保育というグループでの一体感や達成感を感じて欲しかった。


最初は、子どもも大人も要領を得ず、なかなか進まなかった。
しかし、時間が経つにつれ、大人同士が連携し、子どもに指示を与え、みんなで動き始めると、一気にペースが加速した。


そして、そんなの無理と言っていた「カ・ト・ウ」の文字が浮かび上がった。
最後はみんなでバンザ〜イの記念撮影。


「田んぼの横を車で通る時、『だいぶ、育ったバイね〜』と思いながら植えた稲を見てました。今まで気にも留めなかった田んぼを見るようになりました。」
と懇親会の席で語ったあるお父さんのほろ酔いの笑顔が印象的だった。