みんなで作る“おせちの日”〜飾り切りマイスターの誕生
「あけましておめでとうございま〜す♪」
「手作りで……」
「お口に合うかどうかわからないんですが……」
「おせちで〜す!」
「どうぞ〜♪」
……って、kab-logさんが一人で持ってきたわけではありましぇ〜ん。
今回の弁当の日のテーマは、年末恒例“プレおせち”。
しかも、みんなで持ち寄った品をちゃんと重箱に詰める。
もちろん役割分担の打ち合わせは無し。
さまざまなドラマがあった。
まず、品数が少なかったらどうしようという不安があった。
しかし、一人で複数持ってきた人もいたのでこんなに集まった。
しかも、作品がほとんどかぶっていない。
阿吽の呼吸か。
それを重箱にどう詰めるか、早速作戦会議。
「重箱って詰め方にルールあるんだっけ?」
「一の段には祝い肴三種を必ず入れるらしいです。田作り、数の子、黒豆。」
「じゃあそれで。あとはどの段も鮮やかになるように彩りを考えて配分しようか。」
「私、色紙持ってきましたよ〜。金や銀もありますし、緑を切れば松や竹を作れます〜。」
「おお〜っ!誰かハサミ!」
「はいっ!」
などと、おせちのしきたりに従うような従わないような絶妙のバランス感覚(?)で箱詰めのチーム作業が進んでいった。
これも阿吽の呼吸か。
今回は福岡大弁当の日チームとの負けられない戦いだったこともあり、私も気合いを入れて頑張った。ここでもいくつかのドラマがあった。
前日、我が家に重箱がないことが分かり、実家に電話する。しかし、実家にもない。ピンチ!
そこで、母に隣家のおばさんが持っていないか尋ねてもらう。「持っとるみたいよ〜。」「じゃあ、今から借りに行くって伝えてくれんね。」と、早速重箱を借りに。弁当の日のために、実家の隣のおばさんまで巻き込んでしまった。
その夜、「重箱に詰めるなら、3品は作らんと。」と思い、カミさんのアドバイスを受けながらせっせとこしらえる。
レンコンのきんぴら。
田づくり。
赤カブの酢のもの。
ニンジンの煮もの。
レンコンは酢のものにすることが多いが、趣向を変えてキンピラに。薄切りのレンコンをフライパンで炒め、砂糖と醤油とトウガラシで味付けするだけ。田作りは、我が家にストックしている大きめのいりこで食べごたえある一品に仕上げた。赤カブは、すし酢に付ける。すると、表皮のアントシアンが溶け出し、白い芯の部分がピンク色に染まった色鮮やかな酢の物が出来上がり。
ニンジンの煮ものは、二色のニンジン、オレンジの金時人参と黄色の島人参を使った。それぞれを輪切りにした後に中心を花形にくり抜き、くり抜いた花形部分を他方の色にはめ込むと、オレンジ色の背景に黄色の花模様が浮かび上がった輪切りと、その逆パターンの輪切りができるというアイデアもの(残念ながら写真忘れ)。これ、我が家の小学二年生の逸品。小学生恐るべし。
翌朝、常備菜一品、黒豆の黒砂糖煮を加え、カマボコの飾り切りに挑戦した。インターネットで検索(http://www.shima7.com/kamaboko-hiroba/kazarigiri.htm)しながら、見様見真似で“結び”、“祝い”、“うさぎ”、“うめ”、“日の出”と作業をすすめる。ここまでは意外と簡単。
しかし……、“竹”。二度挑戦するが、切り方が分からず断念。見た目が地味だからできなくてもまあ良いか。
一方、一番美しい“松”。縦に薄く切り込む作業までは順調に進めるものの、切り込んだ部分を折り込む作業がとても難しい。ひとつ折り込んで次をやろうとすると、前の折り込みがほどけるのだ。二度三度と挑戦するが、何度も失敗をくり返す。
「これも無理か」と断念しかけるが、つい意地になる。その15分後。ついにひとつ完成(写真中央)。コツを掴んだのだ。カマボコが自然に戻ろうとする力をうまく利用することさえ分かれば、この“松”はできる。根気の勝利だ。
その健闘の影で犠牲になったカマボコ約1本。こうして私は失敗体験を繰り返し、“松”の飾り切りをマスターしたのだった。
明朝の我が家の汁ものには、きっと切り刻まれたカマボコが入っていることだろう。