梅雨空の下の元気野菜と食育塾 〜 食べ盛りの君たちへ


小ゼミフィールドワークの日。
生憎の雨。


“弁当の日”を体験し、その意義を認め始めた大学生たち。
しかし、モチベーションは日常の忙しさの中でかき消されていく。
わかっちゃいるけどなかなかやめられない、安くて、速くて、便利な食事。


「なぜ、一人料理ができないのか?」


この疑問に大学生たちがまじめに考えた。
そして大学教員と料理研究家が考えた。
導き出した答え。


『やればできる!一人料理』


その実践、第1回目。
集合時間になって集まったのは、幾田先生、山西先生、私、そして小ゼミ生2名。


あれ?こんなはずじゃ………
幾田先生と山西先生に申し訳なく思う。


しかしボヤいても仕方ない。
こういう時はポジティブ思考で行動する。


何人だろうと、来てくれた人には最高のハッピーを提供する!


傘をさしながら元気野菜の収穫。
食べ頃のキュウリ、ナス、トマトを収穫。
もちろん、無農薬、無化学肥料。
それでこのサイズ。
「このキュウリ、もう食べれんのやない?」


そう思うのも無理もない。
普通なら中にスが入って、食べれたもんじゃない。
しかし、元気野菜では、その常識が通じない場合が多々ある。
このサイズでも美味しということを知っている私は、
その元気野菜の不思議を参加した皆さんに身を以て体験してもらおうと、だんまり。


新鮮な野菜を手に、我が研究室で“実験”ならぬ“調理”が始まった。


「今日の最初のメニューは“茄子”そうめんです。」
「茄子とそうめんでいくんですネ?」
「いいえ。茄子がそうめんです。」
「へっ!?茄子がそうめん?」
「はい、茄子がそうめんです。」
……といきなり意表をつく会話で始まった最初の料理はコレ。


確かに、茄子がソーメンです。
「今日は、茄子の切り方が少し太くなったから、茄子うどんネ。」
と幾田先生。
これが美味い!
夏バテで食欲がないときにはピッタリだ。


「ちなみに私、旧姓が那須でした。」
「!?あ、そうですか。……で、姓名判断的に旧姓はどうなんでしょう?」
「最悪です。二度も結婚する運勢です。」
「あっ、聞かない方が良かったですネ(苦笑)。……で先生、次は?」
「おふくろの味、シソひじき。」
学生のアシストで乾燥めひじきを水に戻して炒め、ゆかり、刻んだかりかり梅を和えてできた料理がコレ。


「お店でも売ってるけど、こうして自分で作るととても安くできますヨ。
立派なストックレシピにもなりますしネ。」
確かに。
何も食材がないときでも、これと白飯だけで急場を凌げる。
卵焼きやスクランブルエッグに和えることができる。
パスタに和えて和風に仕上げることができる。
本来なら、これに白ごまも加えて彩りと栄養のバランスを整えるとのこと。


……で次は、
「子供や若者にもっと野菜をと思って私が開発したオリジナル商品です。
食べる野菜(タマネギとニンジンの)ドレッシング。
野菜をすりおろしてドレッシングとして使います。
でも、今日は、ミキサー忘れちゃったの。
今日は、一か八か、ブレンダーでいきますヨ〜。」
「大丈夫ですか?」
「どうでしょう?」
と言って、あっという間に綺麗なオレンジ色の手づくりドレッシングが完成。
ももち浜ストアで紹介されたあのレシピだ。
これをズッキーニのサラダにかけて頂いた。


今回は野菜の粉砕具合が多少粗いとは言え、その食感が野菜であることを主張している。
我が家では、このドレッシングを豚肉の冷しゃぶに使ったが、これも大変イケる。


次は、
「これからの暑い時期に、夏バテに効く一品です。
はちみつレモンビネガー!
蜂蜜とリンゴ酢を1:1で混合し、ポストハーベスト農薬フリーの国内産レモンの輪切りを加えて原液をつくります。
原液ができたら、好みの濃度に水や炭酸水で薄めて飲みます。
酸っぱいのが苦手な比良松さんは、蜂蜜を多くしてくださいネ。」
(ここはリアクションをやれという雰囲気。)
「そんなに酸っぱいわけないでしょ〜」
(ドリンクを飲む)
「うわぁ!スッパ!」
(学生たちの笑い)


でも本当は、飲んでみると意外や意外。
酸っぱいのが苦手な私でも飲めたのだ。
これは早速我が家で作らねば。



そして最後は……
「キュウリボート。
料理は中身も大切だけど、見た目も大切。
この不細工なキュウリちゃんをお化粧して美人ちゃんにしますよ〜。」と言ってできたのがコレ。




あの巨大キュウリが大変身。
その美しさに魅かれ、一切れ口に運ぶと……。
あら不思議。
「食べれないと」言ったキュウリが美味いのだ。


元気野菜の良さを余すところなく引き出した幾田マジック。
やっぱり先生はスゴかぁ。


結局、研究室の大学院生3名と弁当の日仲間のシャケさんも途中から加わり、
和気藹々としたとても有意義な調理実習&弁当の日となった。


翌日、幾田先生からのメールが届く。

先生、昨日はありがとうございました。


大変お世話になりました。
楽しい時間をありがとうございました。
弁当の日のブログの中でお見かけしたシャケさんともお会いできて嬉しかったです。


それに、Nくんが地下鉄で置き忘れた弁当が戻ってきた。
不思議なことです!!!
でも、あの12時15分の電話は偶然ではありませんよ。
弁当の日の時間に間に合うことを計算されているかの様でしたネ。
ぐずぐずした私の調理実習にも意味があったのかも?
そんなことを感激できる私たちは本当に幸せものだな〜と思います。


彼のつくったミンチ入りオムレツ、おいしかったですネ。

Fさんのトルティジャもおいしかったですね。

シャケさんのたまひもも、学生さんたちにとってあたらしい味の発見だったことでしょう。


だれも押し付けることもなく、ごく自然に手づくりの一品について語る。
私、こんなふうに手料理について語れる人たちと出会えて幸せ〜〜
あの時間は私にとっていつもいつも新しい発見と、心の洗濯も兼ねているのです。
楽しんでいるのはこの私。
先生にはいつもありがたい想いでいっぱいです。


先生、私思うんです。
先生はとにかく実践なき食育には意味がないとおっしゃるでしょう?
私も思います。
全くもって同感!
だから、こつこつと食育塾をしているんです。
学生さんが少なくても続けることが大事ですよ。


弁当の日は素晴らしいことなのに、現実は、学生さんたちはおかずを作れないわけです。
以前、イベントで一緒になった九大のKくんたちが言いました。
「中学生・高校生・大学生も通学できる料理教室を開催してほしい!」
「僕達、レシピみても作れないです」
「僕達、料理作りたいけどなかなか身近に感じれないです」
それが学生たちの本音です。


学生たちは料理について親から学んではいません。
親と台所に立ち、いろいろと学んだ学生は少ないと、私も若者たちを教えながら知りました。


比良松先生はそこに着目し、
今回の一人で料理ができる様になってもらいたいとの想いだったんですもんね。
九大講義室でのクッキング。
実践されたのは先生が初めてでしょうね。


これが本当の食育実践活動だと思います。
啓蒙だけではなく、実践も。
実践あるのみ。


たまに私を呼んでください。
マンツーマンでも料理を教えます。
人数ではないと思います。
一人の学生さんがそこで料理を覚え、実践し、食卓を演出する。
一人増え、また一人増え。
やがて、手づくりのおかずが当たり前の家庭が増えることを願っています。


私はそのお手伝いをしているだけ。
これからもどうぞ宣しくお願いいたします。


先生の前ではボケも自然にできますばい。
先生のツッコミおもろいです。


このようなかっこいい大人に出会え、一緒に活動できるチャンスを頂けた私は幸せである。
学生たちも幸せだと思う。



そのかっこよくてとても楽しい幾田先生をフィーチャーし、楽しい料理教室を地元で実施することになった。

8月20日(金)(メイトム宗像)
「幾田淳子先生の食育塾 in 宗像 〜 やればできる!親子料理」


お楽しみに。