イタリア旅行記〜9


ミラノ。
今回の旅の最後の訪問地。


2週間の旅を振り返って、最も印象深かったことがある。
それは、本場イタリア料理の価格とクオリティーのバランスがそれほど良いとは思えないことだった。


昨日、ミラノのドゥオーモ(大聖堂)付近のカフェテリアで食べた料理を一例にとると、こんな感じだ。


イタリア産瓶ビール(350ml)…€6.70(¥715)
チキンカツレツ…€16.00(¥1709)
貝とトマトのスープ…€13.00(¥1389)
エスプレッソダブル…€6.00(¥641)
テーブルチャージ…€2.50(¥267)
合計…€44.20(¥4,720)



いかがだろうか?
今写真を見て振り返ってもそんなに高級には見えない。


観光地での食事価格が高めになるはどの国でもあること。
しかし、私の感覚で言わせてもらえば、このようなお店が日本にあったら、きっと閉店に追い込まれるだろう。


現在のイタリアの外食価格はだいたい日本の2倍〜3倍の価格感覚といったところだろうか。
それほど料理のクオリティーと価格の開きがあると感じた。
料理のクオリティーと価格のバランスが悪ければ失望感が必然的に大きくなる。
不案内な私は、今回の旅では残念ながらそういう失望感をしばしば抱いた。
ローマでお会いしたUさんの話では、最近、彼女に観光案内を依頼する日本人のほとんどが、自由時間に自身で食事すると同様の失望感を思い知ると言う。
17年もイタリアに棲んだUさんのその言葉には私を「やっぱりそうか」と頷かせるものがあった。


この話の中で「EUが通貨をユーロに統一して以来、イタリアの物価が高くなった」ともUさんは言った。
確かに経済成長と不釣り合いな通貨単位(デノミネーション)の変更は物価の高騰を招く。
北朝鮮の最近の物価変動がその良い事例だ。


しかし私はそれだけが理由でないような気がした。
本来は美味しい食をリーズナブルな価格で提供できたイタリア人の、食のクオリティーを見抜く力に異変が起きてしまった可能性もあるのではないだろうか。
料理のクオリティーの低さに気付けなければ文句も出ないし、非売行動も起こらない。
ファッションブランドの先進地ミラノの街中でファストフードを片手に道を歩くお洒落なイタリア人を見るとそう思わずにはいれなかった。


料理が美味いと世界から評価されてきたイタリアで私が強烈に感じた食べもののクオリティーと価格の不釣り合い。
それが、偶然の出来事であるか、私の思い込みであって欲しい。