小ゼミ“いのちの授業"〜今、伝えたい私の気持ち3

両親へ
                   
 平成3年12月7日。雪の降る朝、僕は青森県に誕生した。僕は、生まれつき心臓に病気を患っており、産まれてからなかなか片目を開けないので、親に心配をかけたらしい。その病気のせいで、私が夜中泣き出すと抱いて揺すってくれたり、風邪や虫歯にならないようにしっかりとサポートをしてくれたそう。僕はこのことをまったく覚えてないし、今まで知らなかったよ。
 このことを聞くために電話したよね。覚えていますか。このことを聞いたのは、少人数セミナーの「いのちの授業」っていう講義で使ったからなんだ。
 この講義は、本当に幅広く面白い授業をしてる。みんなで大学内の自然を散策したり、日曜日とかに大学近くを散策したり、実際に農作業してみたり。なかなか味わうことができない経験ができて、充実してる。
 前に、違う件で電話したこともあったよね。あれもこの授業なんだよ。花をイメージする料理を聞いたことがあったよね。「あんたにできるものって、お好み焼きくらいしか思いつかん。あとで考え付いたらまたメールするから。」といって真剣に考えてくれたよね。
 ほぼ毎回の授業で先生は親のありがたさを気付かせてくれる。お弁当の日と題したテーマを決めて1品もちよってみんなで食べるというイベント。親の力を借りても本当に大変だった。大学に入る前は、朝起きたらできたてのご飯が作ってあって、昼は美味しいものだけじゃなく栄養のバランスのとれた弁当を毎日もたせてくれて、夜は帰りが遅いのにその時間にあわせて料理を作ってくれたり。今になってそのありがたさを感じることができたよ。
 「いのちの授業」でさ、食生活を調べられたんだ。毎回の食事を携帯で写真をとって、料理の名前や何人で食べたか、いくらでできたかなど、報告するんだ。その時自分の食生活の悪さに気づいたよ。朝はたまに時間がなくて食べないこともあるし、野菜があきらかに不足していて食堂で食べるときはいいけど、家で食べる時はラーメンが多かったり。今まで、意識したことはなかった。家では出されたものを食べてたから。どの料理もおいしくて、バランス良く作ってあったことに今頃気づいたよ。電話するたびに「ちゃんと、朝食食べよるね?」と聞いてきて、半分嘘をついてしまったけど、この授業を受けてからしっかりとバランスを考えて食べるように意識してるよ。
 この授業を受けてから、本当に両親を誇りに思います。自慢できます。色々な人が集まる大学で、非常識で恥をかくこともありません。おどおどして、はっきり決められないようなこともありません。すべて、両親に教えてもらったことです。
 私は一人暮らしを始めて、両親のありがたさに少しずつ気付き始めたように思うんだ。自宅で生活していたころは、普通に感じていてありがたさを感じなかった。「本当の大事さはいなくなってから気付く。」この言葉を身をもって感じたと思います。
 両親へ、普段の生活でなかなか面と向かってありがとうということは照れくさくてできないので手紙に書いてみました。心の底から感謝しています。本当に産んでくれてありがとう。
 「いのちの授業」で学ぶものは本当に多かったよ。専門的なことにしても、人間的なことにしてもね。これから、学生としてまだまだ両親のお世話になってしまうと思います。
 「自分のやりたいものを見つけて、やりたい道に進みなさい」と言ってくれた通り、私はやりたい道を探し、その道を進んでいきたいと思います。また、人の心の痛みがわかる心配りのできる人間になりたいと思います。まだ、学生ということもあり、親のすねをかじる時期が続くかもしれないけれど、一人前の大人になったら親孝行をして、それまで受けた恩を絶対に返すから。それまで元気でいてください。


大切な人が生きているうちに大切だと思えたあなたは、幸せ者だと私は思う。