医者・医療従事者を育てる〜第11回少人数セミナー「足指力」

(7月12日に遡る日記)


「どんな医者を育てるのか」


それは、大学医学部の教員だけでなく、私のような他学部の教員にも問われることなのかもしれません。


九大1年生向けの少人数セミナー「いのちの授業」は、文系理系を問わず、命〜食〜農〜環境に興味を持つ意欲的な学生30名ほどが受講しています。
野外実習、自己の食生活の記録、自炊といった課題を単位取得の条件としている、かなり異色で、ハードルが高い授業ですが、受講生は最後までついてきてくれます。
特別ゲストによる講義もおこなっており、これまでに、環境ボランティアの方々、料理研究家、食農フリーライターさんなどをお招きして、私では与えられない気付きや学びを学生たちに提供してきました。


そして今年、私の念願の夢が叶いました。
医療従事者による最前線のお話を受講生に聞いてもらう授業。
先日(7月11日)、みらいクリニック付属リウマチ&フットケアセンター長の湯浅慶朗先生にご登壇頂きました。


湯浅先生の足指のお話を聴きながら、「へ〜」「えぇ〜〜!」「うそ〜〜〜!!」を連発する学生たち。
目からポロポロと音を立てて鱗が落ちていくようでした。
授業後、学生たちは、この先、ハイヒール靴をどうしようか悩んでいるようです(笑)。


受講生に医学部の女子学生が居ます。
その学生の湯浅先生の授業における気付きと学びは……
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足の指がどれほど大切な役割を担ってるのかが分かりました。できればもっと早く知っていたかったなと思いました。そして、家族や友達にも知ってほしいです。普段足の指に目をむけることはほとんどないし、様々な症状が足の指によって引き起こされているなんて考えたこともなかったです。大学病院で治らないと告げられた病さえも治せる治療だと知って、最新医療だけが全てじゃないなと思いました。将来医療に携わっていくので、多面的に物事を考えられる人になりたいです。今日の授業のことも、将来働くときまで心に留めておいて、いつか役立てられればいいなと思います。
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この医学部生は食農フリーライター森千鶴子さんの授業ではこんな気付きも述べてくれています。
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昨日の授業で郷土について改めて深く考えることができました。郷土料理と言われてすぐに思い付かなくて恥ずかしかったです。森先生の授業を受けて、率直に将来農業をしたいと思いました。今は医学部に進学しましたが、高校時代は農学にも興味があって農学部を目指した時期もありました。その頃の気持ちは入学してから封印していましたが、医学部に進んでも農業や郷土文化に関わりながら働くことも出来るかもしれないと思いました。今は地域医療従事者も必要とされているし、地域の活動に参加したり地域の方々との交流を大事にして働けたらいいなということまで考えていました。また、母世代や祖母世代の方々の手づくり料理の話にとても感動しました。当たり前と思って食べていた母の料理も、今日の話を聞いて、誇りに思えるようになりました。毎日嫌な顔も見せずに工夫しながら弁当を作ってくれていたので、そのことを思い出して感謝の気持ちでいっぱいになりました。
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「樹も森も見れる人」を育てること。


これまでは、私が医療現場の先生方から聞きかじったお話をさも自分の話のように語ってきたのですが、
こんなことがあって、学生たちにもっとそういう先生方のお話も聴かせたいと、よくばりな考えを持つようになりました。