警察からの電話


「◯◯署のものですけど、比良松先生おられますか」。


ある日、警察から職場に低い男性の声で電話がかかってきた。


何も悪い事はしていなのだけれども、ドキドキしながら答える。


「は、はい。私ですけど」。


「お忙しいところすみません。少年非行防止大会で講演をお願いしたいのですが・・・」。


呼ばれたのは取り調べ室ではなく、壇上だった。


二階席まである劇場型の大ホールとそこに集まった多数の参加者を目の当たりにして、自然と緊張感が高まる。


上から突き刺さるような視線を感じる舞台で、家族や心をテーマにした、約1時間のトーク。汗だくになりながら一生懸命語った。


終了後、司会の女性が涙で声をつまらせながら「早速、おうちで子どもと一緒におにぎりを握ろうと思いました」とお礼を述べてくださった。こちらももらい泣きしてしまった。


「参加者からたくさんのお礼の言葉を頂きました。おかげさまで、私の株も上がりました」と、講演を依頼下さった警察の担当者。肩の荷が下りた気持だった。


参加者でごったがえすロビーでも、たくさんの方々から声を掛けられた。「先生の本はないんですか?あったらすぐに買いたいのですけど」と訊かれた。いろんな人から同じ質問を何度も受けるので、だんだん申し訳ない気持になってしまった。


そして心に誓った。


“あなたも自炊が好きになる!「自炊塾」”


必ずや上梓します。