パネルディスカッションの難しさ


講演に比べると、パネルディスカッションははるかに難しい。


前後のプログラムとは関係性が希薄。
パネリストが語りたいことだけを語っている。
時間を無視して語り続ける。
流れがまったく意識されていない。
全体にまとまりがない。
会場の空気を読んでいない。
会場の反応がまったくない。


これらは、残念なパネルディスカッションにありがちな状況。


こういう状況に陥らないようなコーディネート術の必要性を常々感じており、場をどう「さばく」かを、事あるごとに考えてきた。やったことはないけれども、その「さばき」とは、いわば、映画監督や番組プロデューサーのような仕事なのかもしれないと感じている。


パネリストは俳優のように接する。ただしゃべってもらうだけでなく、演者の魅力を引き出せるように対話する。対話の中に、キラリと輝く言葉があれば褒めて演者のパフォーマンスの質を高め、また、重要なキーワードが存在すれば、それを橋渡しとして、次の演者の演技へとつなげる。そして、想定される内容に関する資料やエピソードを予めパソコンに仕込んでおき、タイムリーに引き出してくる。


これらを繰り返しながら、その上で、笑いと感動、驚きを提供できれことが、今の自分にできる最高のパフォーマンスだと思う。


昨日、東京で開催された「弁当の日」関連イベントでのパネルディスカッション(トークセッション)。50分で4人のパネリストとのやりとりでは脳がフル回転していた。


出来は・・・


本当は紹介したかったエピソードへの流れを作れなかったという消化不良感が個人的には残った。


しかし・・・


実は、この登壇の直前、リリーフとしての大事な役割を最初の講演を終えたマダム美智子先生から依頼されていた。


「食が乱れた人でも変われることを伝えられずに尻切れトンボだったの。大学生でも変われるということを紹介して欲しい」。


イベント全体の「流れ」づくりという最も大切な任務のために、予定していた終盤のシナリオを即座に入れ換えた。そして、そこへ着地できるようなディスカッションの流れをつくれる様、本番のコーディネートに集中していた。


終了直後、「すごく良かったよ〜」とマダム美智子先生。リリーフ投手にセーブポイントがついたような達成感を強く感じた瞬間だった。


パネルディスカッションの出来は、チームワーク力の象徴なのだと思う。