訊き語り自由研究


「夏休みの自由研究はダイズにする。」


夏休みが始まった頃、次女がそんなことを言い出した。「だいずはだいじ」を受けて興味を持ったらしい。


「それじゃあ、自分がまだ分からないことやもっと知りたいことをノートに書いて」とアドバイスすると、

  • みそのつくりかた
  • しょうゆのつくりかた
  • とうふのつくりかた
  • おからのつくりかた


と書いてきた。


「それなら、味噌や、醤油、豆腐を作ったことがある人に訊くのが一番いいやろうネ。」と私。


そこで、次女は、いつも我が家に手作り味噌を下さる妻方の親戚(82歳)に、お盆の帰省を利用してインタビューを試みた。カラーマーカーとスケッチブックを携えた次女は、味噌のつくりかたを一から授かった。


“こうじきん(麹菌)”、“もろふた”など聞き慣れない言葉を、ちびっこ記者は一生懸命書き留めていく。最初は味噌だけのつもりだったが、醤油の作り方まで教えて頂いた。今は作らないが、昔はしょうゆも手作りしていたのだそうだ。43年生きた私も知らない知恵の数々。子どもの学びのつもりが、横で聴く親をも巻き込み、いつの間にか親子の学びに。


それは、語る人にとっては、特別でもなく、あたりまえだと思っていた知識かもしれない。誰も興味を示さなければ、やがては消えていくはずだった知恵かもしれない。しかし、“訊く”という行為によって誰かへと伝わり、残されることによって、その知恵は生きつづける。いろんな可能性を秘めた種子として。それは、竹下先生の言われる“三つ目の命”ではないだろうか。


年長者の知恵を授かる訊き語り。


そこには、受けとめていく人それぞれのいろんな発見がある。いろんな可能性がある。年長者の喜びも生み出せる.これこそ小学生の生活科や総合学習の中に取り入れるべきスタイルだったのかもしれない。特別授業“だいずはだいじ”の新たな教材にも応用可能だ。


是非やってみよぉ〜。