講義 in 調理師専門学校キッチンスタジアム


福岡調理師専門学校で食育の講演。受講生は、料理講師や料理人を目指す人たちとその先生たちだ。


まず、会場を見てビックリ。講義室の一番前は教壇ではなくキッチンユニットなのだ。そのキッチンで調理する手元がよく見えるように、聴講席が映画館のような階段状に配置され、さらに、天井のカメラでクローズアップした手元の映像がキッチンユニットの左右上方に取り付けられた大型モニターに映し出されている。学びのために重要な設備への飽くなきこだわりを強烈に感じた。こうした姿勢は我が大学でも見習うべきだと思う。


また、講師陣の肩書きにビックリ。前日には、酒造会社カスタマーセンター職員、料理学校の校長、人形師、西洋料理レストランオーナーシェフが、そして本日の私の講演の後には、ホテル日航福岡の中華料理長、ホテルオークラの和食料理長が講演や実技を実施された。


そして一番ビックリしたのは学校の教育方針。


「調理技術だけでなく、料理が伝えるべき大切なものが他にもあることを伝えたかった」


私を招いてくださったM事務局長が、控え室でそのように私を招かれた理由を伝えてくださった。私が“弁当の日”をとおして学んだことを伝承できれば、自らの料理やその調理技術を提供するだけでなく、それと共に“自分で作る”ことの意義をきっと伝えて下さるだろう。それが、M事務局長をはじめとする学校スタッフの想いであり、私に与えられた役割だと思った。私自身の成長も試される大変貴重な機会となった。


持ち時間60分。いつも使っているスライドショーも朗読もあえて用いず、自分自身の力を信じてでしゃべり続けた。講演終了後、学校スタッフの方々の喜びのコメントを頂いた時はほんとうに安堵した。特に、「◯◯さんが、感動して泣きながら聞きよった」というコメントにはたいへん嬉しい気持ちになった。


料理研究家や料理人を目指す人たち、その先生たちを目の前にし、私がお話しする日が来るなんて、少し前までは考えてもみなかった。今回のこの貴重な機会を与えてくださったのは、今年3月に山口県柳井市子育て支援団体が企画した講演会を聞かれた専門学校スタッフ。その講演会に登壇する機会をくださったのは、竹下和男先生の講演を山口で聞かれた柳井市民だった。その柳井市民に私のことを紹介下さったのは弁当の日応援団の講師陣の方々である。


食を通した命のつながりを話す私自身が、たくさんの命に支えられていることに感謝する日になった。
私の周りで私を支える命に感謝。