“口”こそ命 〜 少人数セミナー「いのちの授業」


前回小ゼミ。
大好評だった食育野菜マジック「“皮”こそ命」。


気を良くして今回は第2弾。
「“口”こそ命」を実施。



「これは誰でしょう?」
「………」
「左が2代将軍・徳川秀忠、右が14代将軍・徳川家茂です。……で、どちらが健康そうに見えますか?理由も言ってください」
「秀忠。座っている姿勢が良いから。」
「家茂。秀忠の方が肥満体型。家茂はスリムで健康そう」
「誰か、電子辞書を持っている人、彼らが何歳で亡くなったかを調べて下さい。」
「秀忠が52歳、家茂が20歳」
「家茂がかなり短命だったということですネ。その答えは彼の“顎”の形にあります」


解説。

確認された将軍たちの身長はほとんど160cm以下と江戸時代の庶民の平均に近いが(江戸時代の成人男子の平均身長はおよそ159cm。※比較資料:1 E0 m)、もっとも古い2代・秀忠が骨格・筋肉が発達し、いまだ戦国武将としての特徴をよく具(そな)えていたのに比べて、江戸時代中期の6代・家宣以降は体格も貧弱になり、特に江戸時代後期の12代・家慶や14代・家茂に至っては顔が面長になり、下顎骨の発達が極めて弱く歯の磨耗がほとんど無くなるなど、貴族的な形質が強く現れるようになっているという。これは最高の上流階級の人々の特権として、ほとんど咀嚼する必要の無い柔らかく調理された食事を摂っていたためで、「超現代的」形質(庶民レベルでは現代を超えて未来に到達するであろうと推測される特性に進捗した形質)と言えるものである。これは将軍のみならず、同じような食生活を送っていた諸大名にも共通する
(「http://ja.wikipedia.org/wiki/骨は語る 徳川将軍・大名家の人々」(鈴木尚 著・東京大学出版会)より)



「つまり『噛むことは生きること』です。私たちが如何に噛めてないか、今日も食べながら体験しましょう」
(学生たちの歓声)
「ここに、ポテトチップス、いりこ、スルメ、昆布を用意しました。全て奇麗に噛み砕くまで呑み込んではいけません。皆さんが噛み砕くのに何秒かかるか時間を計ります。奇麗に噛み終わったら手を挙げてください。では、ポテトチップスから。用意!いただきます!」
(ポテトチップスを真剣に噛む学生たちの手がすぐに挙がる)
「はい、ほとんど同じ。約15秒です。次、いりこ。いただきます!」
(20秒で手を挙げる男子学生)
「え〜〜〜!」(他の学生のブーイング)
「今、君は噛み砕く前に呑み込んだでしょう?普段の早喰いの癖がついつい出てしまったみたいですネ。他のみんなは、だいたい40秒から1分でした。では次、一番手強そうな昆布いきましょう。いただきます!」
(なかなか噛み終わらない学生たち。中には顎が疲れて休む人もチラホラ)
「はい、3分から5分くらいでしょうか。個人差があるのは、顎の力の差だと思います。みんな“学力”は一緒くらいかもしれませんが、“顎力”にはかなり差があるといいうことですネ。“お腹畑”づくりの取り組みで間食が止められないという人がずいぶん居ますが、お腹が空いた時にいりこ、スルメ、昆布を食べれば、顎を鍛えられるだけでなく、間食の量も減らせると思いますよ。顎の力が強くなって唾液の量が増えれば病気知らず、しかも、顎のラインもすっきりして美顔にもなりますしネ。試してみてください」。


学生たちの感想。

  • 自分が意外なほど昆布を早く噛めなかったのがショックでした。
  • ポテチはとても噛むかと思っていたら、意外と噛まなかった。そのことに驚いた。
  • 久しぶりに堅いものを食べました。普段、軟らかくて食べ易いものを食べてばっかりいるなと実感しました。
  • ポテトチップスの無くなり方の早さに驚きました。久しく、昆布やするめを食べていなかったので、こんなに食べ応えのあるものなのかな〜と思いました。間食におしゃぶり昆布を考えてみようと思いました。噛むことは、生きることにつながるということを改めて知ることができました。塾で教えている小学生の子にも、今日の話をしてあげたいなと思いました。
  • 噛むことの大事さを改めて学びました。昆布は久々に食べましたが、顎が筋肉痛になるかと思いました。野菜を切るときは、兄に文句を言われようと、少し大きめに切るようにしたいです。
  • この授業を受けるようになって、噛む回数を増やすようになりましたが、今日の話を聞いて、更にちゃんと噛もうと思うようになりました。
  • 今日、ポテトチップスや昆布を食べ比べしてみて、自分がどれだけ軟らかい食べ物に慣れているかということに気付いた。私は、幼いときから堅いものが好きで、顎の力には自信がありましたが、昆布を食べて顎が疲れて驚いた。
  • 30回噛むことを意識し始めてから食事の時間が長くなったし、噛むことで味をしっかりと確認することができるようになった。それまでは、全然噛んでいなかったんだなと実感した。おかずの具など、切るサイズも意識していきたいと思う。
  • 食べ物をよく噛むということと寿命が関係しているのにビックリしました。今、私たちがいつも食べているものは、今日食べた昆布みたいに堅くないので、食生活の変化って(身体への影響が)大きいなぁと思いました。今週、頑張ろうと思います。
  • (お腹畑づくりチェック)項目に30回噛むことがあるので、普段、なるべく意識しているつもりでしたが、今日、するめを食べて、噛むことに疲れるという感覚を久しぶりに味わいました。
  • 今まで食べ物の堅さをほとんど気にしたことはなかったのですが、噛むってだいじだなと思いました。日本人があまり噛まなくなったのは時間に追われているというのもあると思います。
  • 唾液にそんな(殺菌する)力があることに驚いた。
  • ポテトチップスと昆布、いりこ、するめのかむ回数の差が歴然としていて、普段、こんなに軟らかいものを食べているのかと驚きました。唾液が発がん性物質(の毒性)を抑えることも初めて知り驚きました。風邪予防のために噛むことは大切だと良くわかりました。


彼らと同じ感動を味わいたい方へ。

この冬、インフルエンザ対策には“あいうべ”体操!
セミナー『命の入口心の出口』
・日時:1月16日(日)13〜16時
・場所:宗像ユリックス宗像市久原400/0940-37-1311)
・主催:西日本新聞社「食卓の向こう側取材班」・NPO法人「むなかた介護サービス研究会」
・前売り券800円、当日券990円、学生500円、高校生以下無料


※前売り券をご希望の方は、郵便番号・住所・氏名・年齢・職業・電話番号をご呈示の上、下記まで!
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■食卓の向こう側講師・比良松道一(mich.katz@me.com)