九州大学全学教育「いのちの授業」英語版


今学期から担当授業がもう一本増えた。


農学部国際コースのCoreSeminarという授業。使用言語は英語。内容は基本的に教員に任されている。


大学1年生のうちにどんな授業を受けるかで、将来の彼らの仕事に対する姿勢や生き方が変わってくるだろう。だから授業内容は大切だ。


九大農学部は、今期、韓国、中国、ベトナムから4名の留学1年生を受け入れた。経済発展する国々が抱える悩みは世界共通だ。食や農でも日本と似たような問題を抱えている。そこで、いのちの授業で伝えてきた内容を英語に焼き直すことにした。


いのちの授業・英語版


英訳する作業は大変だがどんな言葉を使うのが相応しいか考えるのは楽しい。


例えば、いのちの授業の「医は食に、食は農に、農は自然に学ぶ」というコンセプトの英訳をこんなふうに表現した。

Medicine (Life) is based on foods.
Foods are based on agriculture.
Agriculture is based on nature (the environment).


そのスライドを見せながらこんなふうに話す。

This indicates the concept of this class. Medicine can be rephrased as life and nature is rephrased as the environment. If you want to understand medicine, you’ll have to learn foods. If you ……. In other words, if you don’t take care of the environment, agriculture would be declined, if you ……. Base on this concept, you will experience various kinds of workshops, short excursions and practices as shown in the syllabus. …(Explain the syllabus.)Through these lessons, you would learn the close relationship between the diet, agricultural, environmental and medical issues.


授業内容の説明の後は、早速、二つのワークを実施。Interview(訊く)work と Self-enlightenment自己啓発)work。いずれも婚学ゴーシ先生によるオリジナル教材を英訳したものだ。私も受講生も最初は緊張気味だったが、だんだんと雰囲気が和み、活発な意見が交わされる。一人の女子学生は、自分の性格をシャイだと言った。しかし、自分の意見を言おうとする姿勢は日本人よりも積極的だ。留学するという前向きな気持ちが、授業態度にも反映されていると思う。


授業の最後に、私が「毎日の料理どうしてますか?」と訊ねると、二人の受講生が「自分で作っている」と答えた。そしてその二人が私に「先生は?」と訊き返す。「僕も毎日。家族の夕食は僕の担当ですよ」と答えると、受講生たちが「へ〜」というような驚きと感心の表情になった。


その瞬間、彼らには「いのちの授業」が通じると確信した。